書道用具の豆知識

筆
筆を選ぶとき、「尖」「斉」「円」「健」の四徳が備わっているものが良いとされています。
古来中国から現代においても、この四徳は良い筆の条件として伝わっています。
筆の種類

穂先の大きさ

大筆・・・半紙に1~4文字から条幅などの大きな紙に適しています。
中筆・・・半紙に6~8文字、全懐紙などに適しています。
小筆・・・半紙に8~12文字、名前書き、あて名書き、賞状など幅広い用途に適しています。
面相筆・・小筆よりも穂先が細く、細字や日本画の細かい描写に適しています。

穂の直径と長さ

穂の長さに応じて、長峰・中峰・短峰という呼び名があります。単に穂の長さを表すものではなく穂の直径に対しての長さのことを言います。

長峰・・・穂の直径に対して穂先が約5~6倍以上の長さ。熟練者向け。多彩な線が表現できます。
中峰・・・穂の直径に対して穂先が約3~4倍程度の長さ。扱いやすい長さでもっとも一般的。
短峰・・・穂の直系に対して穂先が約2~3倍以下の長さ。コシが強いため、初心者におすすめ。

筆軸は大きく、普通筆と達磨軸に分けられます。

普通軸・・・普通軸は、穂の根元と持ち手部分の軸の太さがほぼ同じになるので線の太さを直接感じることができます。
ダルマ軸・・・ダルマ軸は、穂の太さに対して持ち手部分が細くできているので手先の感覚がより伝わりやすいと言われています。

筆のおろし方

数ある書道用具のなかで最も中核をなすのが筆。筆そのものの大きさや作品の大きさで部分的におろすのか穂全部をおろすのかも違ってきますので、正しいおろし方を心得ておきましょう。

穂全部をおろす

条幅や大きな作品を書くときは、筆に墨を多く含ませて書きます。また、羊毛など毛質の柔らかい筆で書くときは穂全体を使って繊細に表現します。こういった場合、穂全体を使う必要があるため全部おろして使います。太筆は穂全部をおろすのが一般的です。

穂先だけをおろす

写経・かな文字・名前書きなどの細字用の筆は穂先だけをおろします。穂先をどのくらいおろすかで、文字の太さや書き方が変わります。毛のかたい太筆でも敢えて穂先だけを使う場合もありますのでご自身の目的に合う長さに調節してください。

筆のお手入れ

筆のお手入れはとても大切です。日々のお手入れ次第で良い筆もすぐにイタんでしまいます。
きちんとしたお手入れ方法をご紹介しますので、初めての方はもちろん、経験されている方でも改めて確認してみてください。

筆に残っている墨を丹念に洗い流す

筆の鋒(毛の部分)の長さよりも深さがある、汚れてもよい容器を用意します。

容器に水をためて筆の鋒をひたし、筆を振るようにしながら墨を落とします。根元に残っている墨が取れない場合は、優しくもみほぐすようにして洗いましょう。水を換えながら、水が黒く染まらなくなるまで繰り返します。このとき、筆を傷めてしまうため、毛先が容器の底にこすらないよう気をつけましょう。

水圧で毛が乱れてしまうため、流水で洗うことはおすすめしません。どうしてもそれ以外に方法がない場合には、毛を傷めないように流水を細くし、毛の流れにそって水を流すように心がけましょう。

小筆のお手入れ方法

小筆は基本的に、水で洗いません。反古紙(使い終わった書道紙)を使い、穂先をそろえるようにして、筆に残った墨をふきとります。さらに水で湿らせたティッシュでふきとり、墨のとり残しがないようにします。
つりさげて干しておき、乾いたら付属のキャップをかぶせて保管しましょう。そうすることで、毛が曲がったり広がったりすることを防ぐことができます。

洗った筆を乾かす

洗い終わった筆は、鋒を円錐形に整え、円錐形の頂点となる筆の穂先が中心にくるようにしましょう。筆の形がゆがんだりくずれたりしたまま乾かすと筆にクセがついてしまいまので、整えた円錐形がくずれないように、つりさげて干すのがベストです。また、カビが生えないよう風通しが良い日陰で乾かしましょう。


硯には大きく分けて「和硯」と「唐硯」があります。
良い墨色をつくるために重要な役割を担うので用途やスペースに合わせて良質の硯をお選びください。

和硯わけん唐硯とうけん

硯には、中国産の唐硯(とうけん)、日本産の和硯(わけん)があります。
違いは原料となる石の種類です。中国と日本とでは風土は随分と異なりますので、採取できる石の色や模様も違ってきます。

唐硯(とうけん)・・・唐硯は中国の石でつくられた硯の総称で、和硯よりも硬く質がいいことが特徴です。その中でも三大名硯と呼ばれる「端渓硯(たんけいけん)」、「歙州硯(きゅうじゅうけん)」、「澄泥硯(ちょうでいけん)」が有名です。

和硯(わけん)・・・和硯は、日本の石を材料としてつくられた硯のことです。
和硯は唐硯に比べると紋様や色のバリエーションが少なく派手さはないかもしれませんが、どの和硯もきれいな色や模様をしていて、滑らかで日本らしい落ち着きを持っています。
和硯の石には産出量がもっとも多い黒色硬質粘板岩の玄昌石、長崎県対馬若田産の泥板岩である若田石などがあります。

硯

硯のお手入れ

硯を洗わないでそのまま放置してしまうと残った墨が固まり、墨を磨ることもままならなくなってしまいます。墨は完全に乾いてしまうと水で洗う程度ではなかなか取れませんので、筆と同様に硯も使ったらその都度洗うよことをお奨めします。

硯に残った墨をふき取る

海に溜まった墨や陸(墨を磨る部分)に残った墨を反古紙で拭き取ります。あまり強く擦るように拭くと紙の繊維が硯にくっついて目詰まりが起こってしまうので注意してください。学校や出先などですぐに硯を洗うことができない状態ならば特に入念に拭いてください。

水洗いする

流水に当てながら柔らかいスポンジや脱脂綿で硯を擦ります。特に陸には墨がたまりやすいので丁寧に洗いましょう。間違ってもタワシや歯ブラシ等の固いもので擦らないでください。硯の表面に傷がついてしまい、墨を磨る妨げになります。また、蛇口で硯をぶつけたり、誤って落としたりすることがないよう周りに注意して硯を持ちましょう。

硯を乾燥させる

洗い終わったら柔らかい布などで水分をふき取ってから十分に乾燥させます。これでお手入れは完了です。
使い終わってから時間が経ってしまった硯は、30分ほど水に浸してから洗うと墨が落ちやすくなります。墨が完全に固まってしまうと水ではなかなか落ちないので、遅くても2,3日以内には必ず洗うようにしましょう。


硯には大きく分けて 「和硯」と「唐硯」が あります。 固形墨を摺った液体は 「僕液(ぼくてき)」と呼ばれる。  一般的、または練習用に 液体状になって販売されている 僕液がよく使用されます。

固形墨

固形墨とは文字通り固体状の墨。硯の中に水を入れ、時間をかけて磨ることによって液体の墨になります。

メリット・デメリット

墨を磨る手間がかかりますが、磨り加減で色の濃淡さや立体感が表現できる、墨そのものの長期間保存が可能です。色の濃淡やにじみの表現が豊かで、作品に深みがでます。

液体墨

液体墨はに墨汁(ぼくじゅう)や墨液(ぼくてき)とも言い、すでに液体状になっている墨のことを言います。

メリット・デメリット

大量の墨液もすぐに準備できる、一定の色を保つ、値段が比較的安価。
保存がきかず、にじみやかすれが平面的。化学製品のため筆を傷めやすい。


紙
唐紙と和紙があり、それぞれ主原料が違います。
和紙は繊維が長く丈夫で、紙質はしっかりしており、唐紙は破れやすいが、墨が浸透しやすく滲みやかすれが綺麗に出やすいという特徴があります。
半紙のサイズ

半紙・・・書道で使用される半紙のサイズは242mm×333mm(曲尺で 8寸 × 1尺1寸)。
一般的によく使われるサイズになります。

半懐紙・・・サイズは245mm×365mm。
全懐紙を半分に裁断した寸法を半懐紙 ( 8寸×1尺2寸)と呼ぶようになる。

全懐紙・・・サイズは485mm×365mm。
近代に至るまで懐紙 (1尺6寸×1尺2寸が料紙の基本寸法で、後にこの寸法の加工紙を全懐紙と呼ぶようになりました。

3×8尺・・・サイズは900mm×2420mm

聯落ち・・・読みは「れんおち」。サイズは530mm×2270mm。全紙を3/4にカットしたサイズです。

2×6尺・・・二六(にろく)ともよばれる。サイズは600mm×1800mm。

3×6尺・・・三六(さぶろく)ともよばれる。サイズは900mm×1800mm。

半切・・・サイズは350mm×1360mm。全紙をタテ半分に切ったもので、最も一般的に使われてきたサイズです。

全紙・・・サイズは700mm×1360mm。

八切判・・・読みは「やつぎりばん」。サイズは176mm×683mm。

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